【MP27】INFORMATION

I-72 Knocker’s #9

今回は2014年6月以降の既刊と新刊を持っていきます!
新刊はこうなりました!!!2016年はちゃんと寝るオタクを目指しているのです、無理せず次回に回したりWEBにアップしたりします!

『The Most Cruel Man』

A5  40P  400円

他人と一定以上の距離を保つことで「楽しく」やってきたソロと、苦しみの中に生きるのが当然と教育されてきたイリヤの、距離とその関係の変化。ちょっと切ない二人の馴れ初めみたいなお話です!あとウェーバリーさんはソロがとてもお気に入りです(色んな意味で)

mostcruel

『LIKE LOVE』→サンプル12ページ、無料配布になりました。

既刊「Sonner or Later」のノベライズのサンプル。
70’s LAを舞台に保険会社の調査員ヴィゴとその押しかけ助手ショーンのロマコメ。
次回、書き下ろしを含めた完全版が出ます。

 

『Secret Crush Minute』

A5  32P  300円

学生時代、チェイスはセバスチャンに出会ったその日に恋に落ちたが、親友として彼の側にいることを誓う。しかし、ついに離れなければならなくなった時が来て……。

secret

なお、下記のサークル様に委託させていただいております。

L59:WILDSIDEさん
・ブラックリストアンソロジー『Starawberry is RED』
・007(タナー×マロリー)『Fall a prey』

L41:堂堂恋愛さん
・コードネーム・アンクル イリソロ『The Most Cruel Man』

K28:どとーる海賊団
・ブラックリストアンソロジー『Starawberry is RED』

ありがとうございます!

Playback 2015!

今年も一年お世話になりましたー。
なんだか毎年変わり映えのない過ごし方で、あれれって感じですがおかげさまでそこそこ毎日楽しく過ごすことができましたん!
発行物としては一年で10冊、まあ今の私だとこんなところなのじゃないでしょうか~。
徹夜はしない、忘れ物をしないっていう点ではクリアできました。
ちょっとは大人になれたかしら。 #アラフォー
あと、アメリカに行けたのもすごく自分の中で良かったことです。いわゆるただの観光旅行でしたが、何となく、しっくり来るようになったというか、うん。それが何らかの形で生かせたらいいなって思っております!

というわけで、年末なので2015年見た映画なんかを振り返ってみまーす。
去年同様、だいぶアレな書き口なのでお暇でしたら、どうぞ!

【新作映画真弓アウォード2015年】

劇場で見た映画は50本(プラス飛行機で見た新作1本)でした。
https://www.pinterest.com/mauming66/2015-watched-movie/
こんな感じ。
2014年と比べて、銃を持ってる人が気持ち、ほんの気持ち減ったような気がしますが、おおむね傾向は同じかな……。

◇たくさん見たで賞◇
1:MADMAX 怒りのデスロード(でも宗教には入ってない) 5回
2:ジュピター(誰がなんと言おうと5億点なんだ、しょうがない) 4回
3:アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(ツッコミは大いにあるがFicにぶつけるわ) 3回
3:ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(ストーリーの完璧さはトップかも) 3回
次点:コードネームU.N.C.L.E(もう北米版買った)

◇涙腺やられたで賞◇
1:シンデレラ(こいつ大丈夫か?!ってぐらい泣いて、隣の女子高生二人に上映後、慰められたぐらい)(理由はまだわからない)
2:パレードへようこそ(テーマからすると重たくてつらいところ、それだけじゃない涙に慰められました)
3:黄金のアデーレ 名画の帰還(見て良かった今年一番かもしれない、本当にしみじみ良かった)
☆ワイルド・スピード SKY MISSION(これは連作からの流れもあっての滝涙だから)

◇魂が盛り上がったで賞◇
1:ウォーリアー
1:クリード チャンプを継ぐ男
同率首位!両方前のめり、拳を握って、泣いて笑って泣いて、うおーーー!って感じの!予定調和がなんぼのもんじゃい!良いものは良い!わーー!っていうね!(語彙力の崩壊)
2:ワイルド・スピード SKY MISSION(もっと言語が不自由になる感じの盛り上がりです)
3:ドラフトデイ(これは!ほんと!後半にかけて畳みかけてくる盛り上がりがただ事ないです!)

◇ロマンス賞◇
わあ、一本も観てないよお!
駄目だよ、枯れちまうよー!来年は観よう!
(ギリシャに消えた嘘はロマンスっていうより、なあ?って感じだったので)

◇なかよしって良いよね賞◇
1:アントマン(いや、ほんとに最高っすよ)
2:ターミネーター新起動(まさか家族愛とラブコメが共存しようとは)
3:ワイルドカード(なかよしっていうか、なぜかとにかく愛されるイサム)

◇ヒロインは君だ賞◇
1:トランスポーター・イグニッション(ダディが良すぎて他の粗が見えなくなる)
2:ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(ベンジーもそうだし、ブラント君だってたいがい)
3:シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア(ステュー。彼はヒロイン以外の何ものでもなかった)

◇真弓は結構好きだよ賞◇
1:スパイ・レジェンド(オーバーキルなピアースは危うさ感じていいんですよ)(ルーク・ブレイシー君頑張って!)
2:スペクター(ちまたで突っ込まれているよりはすごく好きなんだ、僕)
3:ピクセル(カメオで爆上げだけどさ)(まあ、単純に楽しかったので)

◇ひいひい;;ってなりながら見たで賞◇
1:フォックス・キャッチャー(な?もうな……?)(でもあのロゴトレーナー欲しいんや)
2:チャッピー(わたしではなく、一緒に見たお友達が)(ごめんな……)
3:クーデター(今作っていい映画じゃないと思う)(それだけに結構エグかったです……色んな意味で)

◇スーツが格好良いで賞◇
1:ギリシャに消えた嘘(ヴィゴの白スーツに抗うことなど出来るわけもなく)
2:スペクター(キメキメ過ぎて悔しいから2位)
3:キングスマン(ランスロットの出番があと10分多かったら1位にしてた)
おまけ:レイ・スティーヴンソン(ビッグゲーム 大統領と少年ハンター)(トランスポーター・イグニッション)
彼のために見に行って大満足なスーツでした。特に前者。

◇なるほど、わからん賞◇
1:約束の地 (映像は美しく、ずっと見てられる感じです)(でも、どうしてそうなったのかわからんかってん)(私の情緒不足だと思われる)

◇インパクト大賞◇
1:キングスマン(インパクトを抜くと私の中ではエグジーのあまりの良い子さに泣けてしまうのです)
2:ワイルド・スピード SKY MISSION(予告で全部見せやがってって思ったら全然もっとすごかった)
◇ひとこと言わせて賞◇
1:アメリカン・スナイパー(赤ちゃんが人形過ぎる)(戦地のシーンが適当過ぎる)(描きたいことに関係ないからっていうのがわかって、確かに関係ないんだけどさ!ってなった)
2:エクソダス:神と王(途中で映画が変わるんでびっくりしました)
3:ブラックハット(冒頭のアレ!あまりに延々続くんで、正気か!?ってツッコミそうに)(後半はとても良い)
4:チャイルド44(原作と違うのはおいといて、なぜ、英語なのにロシアなまりでしゃべらせたのか)(吹き替えってことじゃ駄目だったの……?)

◇すごい好きなのにこの賞分けだとどこにも入らなかったよ◇
・ベイマックス
・ミュータント・タートルズ
・はじまりのうた(ジェームズ・コーデンまじ天使すぎて)
・インヒアレント・ヴァイス

◇真弓案件◇
・シンシティ 復讐の女神
・ジョン・ウィック(この話を自分で書くとしたら、五倍ぐらいくどくなりそう)

ドラマは本当に数撃ってるんでまとめられません……。
リタイアしたのもありますが、掘り出し物としてはサウスランドかなー、実録風ですが、見ると癖になります!
来年は配信系もガンガン見ていきたいです!

というわけで、長くなりましたが今年の振り返りはこのへんで!
また来年、楽しみな映画がガンガン来るのでワクワクです!だって火星にジャス誕にシビルウォーですよ!?
どういうことだっての。
頭と体が萌えに追い付かないかもしれないですね、危険、危険!

2月のむぱらは幸運にもスペースを頂けましたー。
I72 です。

0207
ほんと当落出るまではソワソワ、出てからは受かっても申し訳ないような気持ちになってしまうので、できればスペース増やして欲しいですね、切実に……!
でも受かったからには、サークルカットが嘘にならないよう、あと一ヶ月がっつり頑張ります!

ではでは、みなさま、良いお年をお迎え下さいませ~!

【X’mas Advent】1224(MENTALIST:Cho/Jane)

 

 

 

「チョウさん、クリスマスはどうします?」
若くて優秀なFBIテキサス支局の分析官であるワイリーの無邪気な問いかけにチョウはいつもの通り、無表情で顔を上げたが、特に何の返事もせず、そのまま手元の書類に目を落とした。
ワイリーも無視をされることに慣れているのか、また聞こうっと、と一人で納得して仕事を開始する。
「で、どうするの?」
しかし、そんな二人の慣れたやりとりをそのままにしておかない人間が一人いた。それがパトリック・ジェーン、チョウの無表情だとか鉄面皮だとかの奥のあれこれをそれなりに読み取れる男だったりする。
だから、今チョウがジェーンが会話を聞き取れる位置にいたから返事をしなかったのだ。
都合が悪い答えをしようとしていたわけでもないし、予定もなかったけれど。
「何がだ」
「だから、クリスマス。ワイリーと過ごすの?」
その言い方はどうかな、と思うがやはりチョウは顔を上げただけで、何も答えなかった。
なぜなら、その問いを昨日、自分が口にしたのだ。
目の前の、波がかった柔らかなブロンドに青い目、柔和な表情でこちらを見つめる男に対して。
その時の答えはこうだ。
――さあ、どうかな
それはいつものジェーンらしい答えだったのだけれど、チョウとしては覚えがないぐらいに緊張したので、いささか具合が悪いと言ったところだ。そういう返事がわかっていて問うたことだったので、ショックだとかそういうのは感じなかったが。
それならなぜ緊張したのか、もし仮にかつての同僚リグスビーが事情を知っていたなら尋ねただろう。
そして自分はその疑問にも無視を決め込んだはずだ。
「さあな」
簡単に答えられるぐらいなら緊張などしないのだ。ただ、去年ならば緊張もしなかったし、そもそも問うこともなかった、ということなのだ。
彼の世界は、変わった。
それだけは明らかなことだ。
「ワイリーは家族と一緒に住んでいそうだよね?彼の素直なところを見るときっと良い家族なんだろう。ちょっと風変わりなことを言っても、否定したりしないだろうし、得意なことを存分に伸ばしてくれたんだろうなあ」
ペットもいそうだし、おしゃべりなママと鷹揚なパパかな?
ちょっとテキサンぽくないかもしれないね。
かわいい妹がいるかも。きっと彼女もおしゃべりだ。
ジェーンのいつもの「想像」を聞き流しつつチョウは耳の奥に響く脈音を静かにカウントしていた。これが乱れるようならば、席を外した方が良さそうだから。
しかし、長い間。本当に長い間、こんな風に表に出さず、彼に必要とされるだけの領域に身を置くことを続けていれば、今更動揺に自分を見失うことはなかった。
ただ、彼は。
今まで見えなかったものが見えるようになった。悪夢はどうだろう、きっと少しずつ減ってきているだろう。
もしかしたら。
幸せだった頃のクリスマスの記憶を思い出しても、微笑むことができるようになったのかもしれない。
そうだと良いと思っている。
「ワイリー」
チョウはジェーンには構わず、ヘッドホンをつけて仕事に没頭しようと気合いを入れていた青年に声をかけた。
「はい?」
「俺のことは心配しなくていい」
ワイリーはその言葉に照れたように笑って、良かった、と二度ほど頷いた。きっと故郷に帰る予定もない独り身の(友人の少なそうな)自分を気遣っての言葉だったのだろう。
チョウもそんなワイリーに頷きを一つ返すと、改めてジェーンに向き直る。
「二度は言わない」
「うん」
「で、どうする」
少し、睨むように見ているかもしれない。いつも手にしているマグカップを持たずに少々手持ち無沙汰のようだったジェーンはその指を胸の前で絡めて、ゆるく首を横に振った。
それが拒絶を示しているのなら、チョウも諦めることが出来た。
しかし。
「……君に任せるよ」
視線も合わせずにそんなことを言うものだから、チョウは決着をつけることも出来ずに、今まで踏み出したことのない領域に踏み込んでしまうことになる。
「わかった」
「わかったって、チョウ、君ね?」
ジェーンは何ごとかを言いつのろうとしたけれどそこで諦め、くるりとこちらに背を向けた。少しだけ、ほんの少しだけだけれど頬が赤く染まっているように見えた。
今のチョウにはそれで十分だった。
メリークリスマスだなんて、上手く口に出来るかわからないが。

そのぎこちなさを、あんたは笑うか?
—————————————
久々のチョウジェン!
俺アースだよ。

【X’mas Advent】1223(RPS-AU??)(女装注意)

へむ子ことクレアちゃん(@SNL)とトレイシー(豆こ@Accused)

 

 

 

 

 

 

 

トレイシーがママの小さなお店でクレアちゃんが働きはじめたよ!みたいな妄想の果て。
年末の日常の気ぜわしさをこの二人に癒やしてもらっている毎日ですw
(とってつけたようなメリークリスマスです)(トナカイの角とか付ければよかったね)

2015xmas

 

ウォーターカラーマーカーをゲットしたので、使ってみたんだけど、水彩用の紙がなかったのでいまいち、思った以上にぶわーっと広がってくれなかったw
(そういう問題じゃないかもしれないけど)

でも発色よくて楽しそう!!!!

 

 

 

 

 

 

【SS】ギリシャに消えた嘘: Bite your tongue off … 

 

 

男は三本目の煙草に火をつけた。
安宿の天井は彼のような客のせいで、すっかり脂汚れて変色しているが、それを気にするような客はこんなところを選んだりはしないのだろう。台帳に名前を書く必要すらなかった。
「マラケシュか……?」
男は煙草を唇に挟んでいても、いなくても、その声に変化はない。変にくぐもってもいないし、さほどの喉を張らずとも深過ぎないところで響く声。今日は少し掠れているのは、息が止まりそうになるまで走ったせいだろう。
心臓が早撃ちして飛び出すかと思った。自分にとってそれは、イスタンブールの夕暮れ時の市場、喧騒、警笛の中を駆け抜けたその時ではなくて、男と対峙した時に、彼が自分を信じてくれるかを見極めようと、彼のペールブルーの瞳と、ほつれて頬に落ちた前髪をじっと見つめていた時だった。
ギリシャ警察を背にし、こめかみを伝い落ちる汗にも視線を動かさなかったつもりではいたけれど、彼はどう思ったろうか。今まで彼が積み重ねてきた、彼の作ったチェスター・マクファーランドという男の人生の中で、僕のような人間はいたのだろうか?
僕、ライダル・キーナーがどういう人間かなんて、僕自身もわかってはいないけれど。いつか終わりを告げるだろうと思っていたモラトリアムに終わりを告げ、罪人となってさまようことになるとは、一度として考えたことはなかった。
まして、彼のような男と供に。
彼に愛され、愛していた女、コレットはどう思うだろう。世間の言う純愛とは違うだろうが、確かにそこには二人の愛の形があって、僕はそれをすぐ近くで見ていた。
そして、その絆を乱した。
彼に抱いていた怒りは、まだ腹の底に抱えたままになっているが、今彼が自分の計画通り、ここにいるということが嬉しい。
初めて会った時よりも、五歳ほど年嵩に見える横顔。
乾いた肌に砂がこびりついているようだ。
「次に行くなら、ね」
男は、けだるげに煙を吐き出しながら目と、肌の感覚だけであたりの様子をうかがっている。
彼はずっと考えているのだ。
あの場所から、どうやって逃げ出せたのか、ここがどこなのか、僕が何のつもりでギリシャ警察を裏切って彼を助けたのか。
そして、おそらく。
僕をどうすべきか、考えている。
「悪くないな」
立て付けの悪い窓ははめ殺しになっているようなものだ。曇っていて、向こう側を見通すことも出来ない。彼はまだ、ここがどこだかは知らない。それは優越感よりももう少し、歪んだ喜びを僕にくれる。
「褒めてくれるのかと」
彼は、今、僕を利用する以外の手段を持たない。
「おまえこそ、ほぼ無一文になったような俺になぜ恩を売る?」
恩か。
激昂からコレットの仇を討つつもりではいた。彼が一人、飛行機に乗ったとわかった瞬間は、この手で彼を殺すのが正しい道だと思った。
だけれど、それならカフェで彼を見かけた時に感じた「何か」を説明することが出来ない。
目の前にいた、財産も美貌も持ち合わせた女性が一瞬にして霞むほどの、何か。
コレットも美しくて賢い女性だった。
惹かれなかったとは言わない。彼女が二人で逃げようと言えば、手を取って逃げたかも知れない。
でもそうすることはなかった。
そうなれば、きっとチェスターは僕を世界で一番深く、憎んでくれただろうけれど。
それについては惜しかったと今でも思っている。
「……新しい名前、どうする?」
冷静に考えればギリシャ警察に協力した後、アメリカに戻り、父の墓の前で膝を折るのも一つの手だった。
父の死による喪失感は、愛情があったわけでもないのに、今も体に穴を開けている。
そこに泥でも詰めて塞いでしまいたいのに、それも許されない。
その穴を、この男が埋めてくれるかも知れないと思ったのは確かだけれど、今はそれより。
別の形を求めている。
「おまえが好きにつければいい」
誰かの代わりでも、利用するだけの一過性の関係ではない。
ただ、唯一の、何か。
「ほんと?」
「ただし、おまえの父親以外の名前にしてくれ」
彼はそう言って、煙草の煙をこちらに吹きかける。その答えは、今の僕が求める、すべてと言っても良かった。
彼は父親ではない。
そう、あの男と彼を見間違えたわけではないのだ。
「マラケシュも暑いのか……?」
「多分ね」
これ以上余計なことを言ってしまわないように、僕は唇の真ん中で煙草をくわえる。
そして、彼の乾いた横顔と疑心に苛まれぴくぴくと時折震える目元を見つめながら、新しい彼の名前を考えよう。
その名を知っているのは、しばらく僕だけになるのだから、大切に、考えよう。
僕だけの、名前だ。

【X’mas Advent】1220(RPS-AU:John.H/Sean)

“Just Snatched” Ver.
泣く子も黙る?
Queen’sCounsel、勅撰弁護士、通称「シルク」であるジョン・ハートは、今日も若手からの羨望の、同僚からは嫉妬含んだ眼差しをそのシルクのコートに浴びながら、裁判所の大階段を早足で降りる。
特に急いでいる用事がなくても、彼はそうするのだけれど少し猫背で足元の方を見て歩く癖があるので、あまり周りは見えていない。慌てたように見習い達が後を追うのがいつもの光景だ。
「ジョン!」
しかし、トップクラスの弁護士であるジョンにも弱点はある。
「……ショーン……!」
それが、彼。名前をショーン・ビーンと言って、クラブの夜の清掃員であり、出張ウェイターであり、ロンドン警視庁で性犯罪に関する特別捜査班、サファイアユニットの情報屋でもある、ちょっとした「訳あり」「訳知り」の青年だ。
白い肌、毛足の長いブロンドに、大きなジェイドグリーンの瞳、目尻のすうっと切れた、美形。
そんな彼にジョンは一目惚れをし、誤解のせいで安直な説教を講釈したあげくに、大変なことをしでかしてしまったのだ。
それはどこの記録にも残っていないけれど、端的に言えば、犯罪だ。
誘拐、監禁。
その罪を犯した人間を何人も見てきたが、まさか自分がそんなことをしでかすとは思ってもみなかった。恋は盲目とは言うけれど、熱にうかされていたのは確かだ。
「そろそろ終わる頃だと思って」
しかし、事実は小説よりも奇なりと言ったもので、想いが通じたのか、どういうわけか、未だにジョンはこの状況を言語化出来ないけれど、ショーンと自分は、何となく関係が続いている。
当然、監禁し続けているわけではない。一目惚れを絶対に信じないショーンに、自分の抱いた愛情を伝え、その後、恋人達ほど頻繁ではないにしても、キスを交わすようにはなったのだ。
ハグだって、たまには。
許してもらえる。
「あ、ああ、確かに……」
「少し長引いた?」
「そのようだ」
時計を確認すると、確かに見当していた時間よりは押してしまったことがわかる。後ろの方で見習い二人がこそこそと耳打ちしあっているのがわかって、渋々振り向いた。
「先に戻っていてくれ」
「はい!」
返事だけは立派なものだ、抑えきれない好奇心を瞳にきらめかせてはいたけれど、シルク様に逆らうわけにはいかない。我先にとでも言うように、駆け足でいつものたまり場、パブに向かった。
「そ、それで……何かあったのか?」
ショーンはボランティアで、夜の街で身を守ることもなく、選択を誤ってしまった少年少女を守るための活動をしている。ソーシャルワーカーでもなければ、警察でもないのに。
自分の身に起きた恐ろしいことのような悲劇が他の誰かに起こらないように、という彼の志を否定する気はないが、恋に焦がれる男には単純に彼の身が心配でならない。
仮に非力な頭でっかち、だと自認している自分が、彼を守るための術を何一つ持っていないとしても。
「ああ、あのさ。めっちゃ大きなツリーを買っちゃってさ」
わかる?
世間はクリスマス前で浮かれてるんだけど?
「あ、ああ……」
いくら仕事人間でもクリスマスぐらいは知っている。あと数日でその日が来るということも。当然、ショーンのためのプレゼントも用意してある。
渡せるか、どうかはこの際どうでも良い。
「で、あんたんちに置いてもいいかな?飾り付けも、後片付けもするからさ」
良い株なら庭に移植してもいい、と促してくるショーンにジョンは目を丸くした。
確かに、数度の「デート」のようなことと、二週間に一度ぐらいにはOKをもらえる「ディナー」、何度かのキス、は許してもらえていた。夢見がちな人間なら「ステディ」だと勘違いしてしまいそうなぐらいだとは思う。
しかし前科者であるジョンはそこまで楽観的にはなれないでいる。いつか、気持ちをわかって欲しいとは思っているけれど、それ以上の願いは贅沢というものだ。
「もちろんだ……い、居間にはほとんど何もなくて……」
ろくに見ることもない大型テレビと、座り心地だけはかけたお金分保証されているソファ、ローテーブルがある、それだけだ。裁判資料を広げてスコッチを飲む、それだけのために使われている部屋にクリスマスの飾り付けをしたことは一度もない。
「知ってる」
「あ、ああ、そうだったな」
監禁、以来。
ショーンを自宅に呼ぶようなことはしていない。平気な顔をしていながらトラウマになっているという可能性がゼロではない限り。
ジョンは過去の過ちに完全にコントロールされているような状態だった。拒まれないからと言って、許されたとは限らないし、愛情を信頼してもらっているわけでもない。
「だから俺が派手に飾り付けてやるって!」
天井ぎりぎりぐらいになるかも、と言って笑ったショーンは承諾を当然としていたのか、たくさんのオーナメントやリボンを買ってきていたらしい。足元には三つほど、大きな紙袋が置いてあった。
「料理は全然駄目だから、ご馳走はジョンの担当な?」
それは得意分野だ。一人暮らしの中年男の唯一の趣味だったが、ショーン以外の誰かに食べさせたことはない。
彼は美味しいと言ってくれていた。
しかし、だ。
「ショーン……?」
ジョンは彼の次の言葉を遮るように、名を呼んだ。
「ん?」
彼の瞳は冬の弱い陽光の中でもキラキラと輝いていた。今日はニット帽の中に隠れてはいるが、そのブロンドも同じくいつだって輝いていて、ジョンの目には天使にも女神にも見えた。
だから、わからないのだ。
「……クリスマスを……わたしと過ごしてくれるのか……」
その、理由が。
「……んー、まあ、迷ったんだけどさ」
ショーンは軽く肩をすくめた。
「いつもは養護施設の子供達のところに行ったり、夜回りしてたんだよ」
ジョンは何も気の利いたことが言えなくて(法廷ではどんな不意打ちにも動揺することがないと言うのに)、黙って続きを待った。
「もう地元には全然帰ってないしさ」
ブライアンは仕事だって言うし、バーニーのところは人が足りてるっていうし、と続けてショーンは少し首と体を傾けて、こちらを上目使いをするように見た。
彼の方が背が高いのに、こんな時は少女めいている気さえするから、重症なのだ。もう彼のこととなると、まっとうな判断だとかそういうものが一切出来なくなる。
「それなら、恋人と過ごすべきじゃん?」
ぱちっ、と音がしそうな派手なウィンクに、ジョンは自分の心臓が撃ち抜かれたと思った。
息が止まり、声が出ない。
彼は今、何と言った?
「ヘイ!ジョン……!?大丈夫?」
その場でへたり込んでしまいそうになってよろけたジョンのコートをショーンは笑いながら引っぱって、大げさだなあ、と呆れた声を上げた。
「メリークリスマス、ジョン。そういうことだよ、わかった?」
「あ、ああ……あの……でも、それは……」
許されない、と紡ごうとした唇を、ショーンは指先で押さえる。
「もっとロマンチックなのが良かったっていうなら、保留にするけど?」
「死にそうだ……」
助けてくれ、と呻いたジョンにショーンは最高にごきげん、と言ったような笑顔を向けてくれる。夢ではないのか、第三者に判断してもらいたいぐらいだ。
「じゃ、これ持って帰っておいてね。週末行くから」
「あ、ああ」
法衣を着た人間が持つ物ではなかったが、もちろん、了解する。彼は今夜も迷える子羊を助けに夜の街を歩くのだろう。心配だ、という気持ちは伝わっていると思う。
だから、こんな時、かける言葉がわからない。
「ショーン」
だから結局。
「ん?」
これしかないのだ。
「……愛してる……」
答えはまた派手なウィンクと、頬へのキスだ。良い子にしてろよ、なんて囁いてまたこちらの心臓を止めたショーンは軽やかに体の向きを変えて、歩き出した。
少し離れたところから振り替えて手を振ってくれたが、両手の塞がったジョンにはふり返すことが出来ない。それにもショーンは愉快げに笑ってくれたのだけれど。
ジョンは夢ならどうか覚めないで欲しいと遠くから聞こえてきた鐘の音に、小さく呟き、神に祈った。

【X’mas Advent】1215(MIRN:ハンブラ)

「お呼びですか?」
IMFの新しい長官、アラン・ハンリーの顔にはだいたい年嵩の男が見せる、傲慢な余裕(実際にその余裕があるかどうかは別の話だ)めいた笑みが浮かんでいるのだが、今日はそれが見られなかった。
今の自分の立場は長官秘書ではない、と毎日のように言い聞かせているのだが、ハンリーはそのように思っているのだろう、毎日のように用を言いつけては呼びだすのだ。
確かに、今現在の俺はと言えば、分析官というほど資料とにらめっこしているわけでもなく、エージェントとしてどこかに潜入しているわけでもない。やっていることと言えば諸々の「後始末」だ。
彼を一応のところ味方につけることは成功し、IMFの解体も免れた。それでも「安定」しているとは言い難い。やることは山積みなのに、長官殿だけは俺のことを暇人だと思っているらしい。
もう三日も家に帰っていないのに?
「おまえ宛だ」
そんなことを考えながら彼のデスクに近づくと、彼は仏頂面で一通の封筒をこちらに差し出した。
いや、突きつけたと言った方が良いかもしれない。デスクの上でいくつかの山を作っているクリスマスカードの内、一通であるらしかった。
「へえ?」
思わず、上司に対しての敬意に欠けた返事をしてしまったのには理由がある。
まず第一に、だ。
この組織で宛先違いが起こるわけがない。もしあったとしたら、原因を徹底追求して二度と間違いがないようにしなければならない。炭疽菌入りのラブレターだって珍しくない場所なのだから。
まあ、つまりだ。
これは故意に彼が俺宛の郵便物を受け取ったということになる。
「……英国首相からだ」
面白くなさげにそう白状したハンリーは椅子の背に恰幅の良い体を預け、そのままくるりとこちらに背を向けた。
第二に。
この封筒の封は開いたままになっている。元はCIAの長官、現役時代は優秀な諜報員だったろうハンリーがそんなミスをするはずがない。というわけで、これもまた故意だ。
ずいぶん姑息な手を使うじゃないか。
まるで子供だましだ。
「へえ、ベルベッド地に金の箔押しか。さすが」
俺はそんなことを聞こえよがしに口にすると、カードを開いた。
そこにはごくごくまっとうな、クリスマスカードに書くべき文が記されていたのだけれど、ほんの二行ばかり、書かなくても良いようなことも。
少し癖のある文字を目で追った俺は、眉をひょい、と上げた。
おや、まあ。
そう言った感じだ。そこにはイギリスに来た時には必ず声をかけて欲しいと、書かれていた。それから、プライベートだろう電話の番号も。それは後で、確かめてもいいし、確かめなくてもいい。
そういう番号だ。
「わざわざ、お知らせありがとうございました。誰かに持って行かせれば良かったのに」
ハンリーはこちらに背を向けたままだ。このクリスマスカードに含まれた「他意」について彼がどう思っているのかはわからないが、明らかに気分を害している。
どうやら思っていた以上に気に入られているらしいぞ?
さて、どうするか。
「他に用事がないようでしたら、これで失礼します」
仕事は山積みなのだ、クリスマスカードの分類分けはお一人でやってもらうことにして、俺は彼に背を向けた。
「ブラント」
あと一歩で外に出るぞ、とドアノブに手をかけたところで、声がかかる。ずいぶんと粘ったじゃないか。
「はい?」
肩越しに振り返ると、ハンリーがこちらを少しばかり真剣な目で見ていた。
へえ、あんたそんな顔もするのか。
なんて言ってやったらどうなるかは、まあ、想定はしているけれど。
「……それで、クリスマスの予定は?」
なあ、本当にCIAの腕利きだったのか、と尋ねたくなるぐらい、その台詞は当たり前で面白みもない定番だ。それでも、その単純さが「真剣」さを演出するには十分だ。
怒っているようにも見えるハンリーの表情は少し強ばっているように見えたが、あくまで「いつも通り」を装っている。だからブラントもいつもの瞼を重たそうにした、半目で振り返りこう答えた。
「それは長官に聞いてみないとわかりませんね」
するとすぐに少しばかり放送コードに触れるような言葉が返ってきた。

それから、たぶん、こう続けた。
ハレルヤ!

何を大げさな。
ただ、食事をするだけかもしれないぞ?

——————————————
まだ、キャラ模索中だけど、初ハンブラ書きました。

AlexS/Kitsch Short-SS

<出来上がる前だよ>

 

「アレクと話してると首が痛くなるんだよなー!」
確かそんなことを言ったような気がする。その場にいたみんなが同意したし、笑いも取れた。
その場のジョークのつもりだった、の、だけれど。
うーん、と。
「……」
その瞬間からずっと彼の機嫌が目に見えて悪い。
彼は無表情になるととたんに氷のように冷たい顔になってしまうみたいなんだ。そんな顔でやっぱり上の方から見下ろされるのは良い気分がするはずもなく、俺は無意識に唇を尖らせてしまった。
「……」
機材のトラブルが出て次のシーンの撮りまでまだ少しかかる。二人のシーンを撮る前にこの雰囲気が良くないことぐらいわかっている。
でもいい年してそんなことぐらいでへそを曲げられても、と思うのだ。プロとしてどうかしている!
そんな風に毅然と立ち向かうことが出来れば、と思いかけたその時だ。
「……!」
アレクがすぐ目の前、息もかかるようなところまで顔を近づけてこちらの顔を覗き込んできたのは。
ひっ、と変な悲鳴を上げそうになったのを必死にこらえて(と、いうよりもひきつった笑顔でごまかして)、何のつもりかを問おうとした。
正直、だいぶ、怖い。
「上目使いがかわいかったから」
「へ!?」
「テイが上目使いで俺を見るのがかわいかったから」
それはいいよ、わかったから(わかりたくもないけど)。
だからそれが何で不機嫌とつながるのか、と聞き返そうとしたのにアレクはそれを許さなかった。人差し指を唇に当てて、静かに、のジェスチャーだ。
彼が小柄なメイク係やスタイリストの首を痛めさせたという話は聞いたことがないから、だいたいが、こちらをからかうために胸を張って背筋を伸ばして更に大きく見せていたのだとも思っていたりもした。
だから、あんなジョーク(のつもりだったんだ、本当に)を言ってしまったのだけれど、からかったんじゃないのか?
ええと、本気で上目使いさせるために?
わーお!
「……たまにそれを見せてくれるんなら譲歩してやってもいいぞ?」
「譲歩って……」
何を言い出したのかと思ったが、そろそろ監督も戻ってくる頃合いだ。俺はてきとうに二、三度ほど頷いて(食事をする時正面にでも座ればことは済む)、困った弟、の表情で笑って見せた。
「頼むよ、アレク」
「テイに頼まれたらしょうがない。何だってする」
食い気味の即答に、どうだか、と思いはしたが現場の遅れの原因が自分になってしまうのはごめんだったので、その言葉をとりあえず聞き流すしておくことにした。
とたんにご機嫌になった共演者に安心した俺はカメラの方を向いた。おかげですんなり演技に入れそうだ。
うん、これで良かったんだ。
た、たぶん。