【X’mas Advent】1201(ラムロウとロマノフ、ところによりキャップ)

 

 

 

「何も聞かないで」
エージェントロマノフは苦虫を噛みつぶしたような表情で、それだけを言い捨てた。シールド一番の美貌の持ち主とも言われているが、今の時点ではそれをすっかり台無しにしてしまっていると言える。
彼女は手に色とりどりの糸を使った、カラフルで野暮ったい、足を入れるには大きすぎる靴下を何足も持っていた。絵柄を見れば、誰が見てもそれがクリスマスに暖炉のマントルピースの前にぶら下げるためのものだとわかるが、あまりにもこの場所にはそぐわない。
ここはシールド本部トリスケリオンの一角、エージェント達の詰め所のような場所だ。その中でも最も優秀とされるストライクチーム専用のエリアともなれば、なおさら。
それをすべてわかった上で、彼女はそれをここに持って来たのだろうだろうが、やはり異質だ。機能的な施設や道具、武器が揃っているだけの部屋には靴下をぶら下げるフック一つも見当たらないのだから。
しかし、ラムロウはその靴下に興味もなければ、彼女に問いただすような気にもならなかったので、周囲の様子を伺いつつも人ごとのように装うつもりでいた。
放っておいても、彼が尋ねる。
「ロマノフ?」
ほらな、とラムロウはひそかに眉を上げた。
「何よ」
女が不機嫌にしていても構わないで疑問をそのままにしないのが、この男、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースだ。
彼はその靴下の理由というよりも、不機嫌の原因を知って対処しようと思っているのだろうが、そのまっとうさが人を苛立たせることもあることを、彼は知らないでいる。
ラムロウは姉弟のような二人のやりとりを横目に、弾倉に銃弾を込めていた。
「その靴下、どうしたんだ?」
「内勤の子達にもらったのよ。皆さんで分けてくださいってね」
ああ、もう。
言わなきゃわからない?とロマノフが恨みがましくロジャースを睨んだが、彼はあまり状況がわかっていないようだ。
「もうすぐ、クリスマスでしょ?」
これ見よがしなため息を挟んだ後、ロマノフはこう続けた。
「私達があまりに普通じゃないから、心配されてるのよ」
そこには自虐的な響きこそなかったが、寂しさは漂う。本来なら彼女が内勤の、特にバックオフィスを担当するような女性達と口を利く必要はない。
ただ、あえてロマノフはそこへ顔を出し、彼女達の名前を覚える。その理由を問うたことはないが、おそらくは、正気を保つ為だと思った。彼女達の世界は、ロマノフの知るそれよりずっと退屈ではあったが、ずっとまともだからだ。
「……そうか」
ロジャースはそう頷いて見たものの、いまいち事態を把握出来ていないのがわかる。ロマノフもそれ以上は説明するつもりはないのだろう、一足ずつですべて柄が違うらしい靴下をデスクに並べて、その内の二足を手に取った。
ラムロウはその一部始終を目の端で観察していたが、そこでついに彼女と目が合ってしまう。
「何よ」
彼女がかつていた国の風習がどうだったかなんて知らない。その靴下をどう使うかも興味はない。
「俺も、一足もらっていいか?」
ただ、脳裏にちらりと誰かの顔を思い浮かべてしまった。
「……ええ、もちろん」
少しの間が、戦いに明け暮れるだけが脳だと思われている男に対しての戸惑いと疑念を示しているが、ラムロウは構わず続けた。
「最近、猫を飼ったんだ」
そいつのおもちゃにでもするさ。
と、言ってボンボンのついたデザインの、靴下を選んだ。
「ふぅん」
「当日はご馳走でも頼むか?」
普通の人に見えるように。
そう尋ねるラムロウにロマノフはこう答えた。
「普通の人は、家族と過ごすらしいわよ」
「それはそれは」
知らなかったな。
ラムロウも肩をすくめてそう答え、猫がいるんでしょという視線には目を細めるに留めた。
その猫は、とてもとてもねぼすけで。
会えない時もあるんだ、なんて誰にも言えないのだから。
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アドベント、初めてみました。
最初はぬるめで。

ゆるゆると24日まで、色んな面子で書いて行こうと思います!

週末のお絵かき

ようやくイベント後の体調回復&お部屋のお片付けが完了したので、お絵かきしたり、録画見たり、本を読んだりして日曜を有意義に過ごしましたとさ!
明日から創作脳にギアチェンジして頑張るど!

ということで、こっちにもお絵かき載っけておきます!

まずは7/4はキャップの誕生日ってことで、お祝い絵を描いてみました!
すごいキャップが描けないマンなんですが、ほら、全然2枚とも顔違ってますね?ホンモノには似せられなくてもせめて自分の絵には寄せて行こうよ?ってつっこんでしまいましたw
ちなみにおデート絵の背景はブルックリンの写真がなかったので、丸の内です、すみません。

いつかこんな二人が見られると……見られるといいなあ;;;;

2015CABD 2015CABD-2

で、これはだいぶ加工しちゃってるんですが、色鉛筆の練習でMAD MAXよりワイブス達とフュリオサです!
全員の個性がしっかり立ってるのが、こうやって描いて見るとすっごくよくわかりますね!
いやーほんと最高でした、MAD MAX!

wives