RPS-AU Viggo/Sean『DESPERADO』#2

act.01  Chauffeur   @San Diego :Said By Sean

ぞっとした。

先日届いた医療保険の支払い状況を知らせる手紙を読んで、思わずそのままゴミ箱に放り投げてしまうほど。

それは年増女と同じような理由からで、年齢の欄を見たらゴーストに出くわしたのと同じくらいのショックを受けたのだ。

誕生日の一ヶ月前に届くその通知によると自分はもうすぐ四十三歳になるのだと言う。誕生日を毎年祝ってもらった少年時代を除けばとうにどうでもいい日となっていたが、ある年から同じように毎年祝ってもらえるようにはなった。しかしそれについては何の感慨などもなく、むしろ虚脱感ばかりが先行する日になっていた。

「今日も、ですか?」

俺はある少年の学校への送迎をするという仕事をしていた。

ここサンディエゴはメキシコとの国境近くにあるせいか、カルフォルニア州でも目立つほどの誘拐多発区域であった。銀行口座の中身に自信のある親たちは自ら送り迎えをするか、俺のような人間に託して迎えにやらすことがほとんどだ。

少年の名はクリスチャン。

学校にはクリスチャン・ベールという名で通ってはいるが、実際はその姓ではなかった。ここらで彼の本名、を口にするとまず友人はできない。

学校は良家の子弟が集まる私立の小学校で彼の同級生たちの親たちは合衆国建国以来の名家の筋を引くもの、大企業の役員、新進気鋭のIT産業の名士など肩書きの華やかな人間ばかりだった。

俺自身は人生の大半をイギリスで過ごしてきたせいか、この程度の身分差はどうということもないことのように映るのだが、彼等は結構必死だ。友人付き合いを子供のうちから親がチョイスして、まっとうな人生を歩ませようと考えている。だから少年はベールという母親の姓を名乗ることで、出自をカモフラージュする必要があったのだ。子供には子供なりの「社交界」があると俺は思っていたから、そうするように周囲に認めさせた。

しかし事情はもう少しばかり複雑で、少年の母親の職業は女優、それもそこそこの知名度を誇っていたが、少年が彼女に会うことなかったし、今後もないだろう。ただ、それでも少年は彼女の姓を名乗って生きてきた。

俺が彼女の出資者たる男、つまり少年の父親に聞いたところによれば、男は女優にかなりの額を積んで自分の子供を産ませたが、それは彼女への諸々の援助に見合う条件の一つでしかなく、男もその女優には長男誕生以来会っていないということだった。

本当かどうかは知らないが、俺にはそう言っていた。

真実がどうであれ、俺が口を出せる次元の話ではないのだけれど。

「ええ。成長期ですし……きちんと食べないと……。はい、わかります」

クリスチャンは良い子だ。俺にもよく懐いている。たまに別の人間が迎えに行っても学校の前から動こうとしない、という困った頑固さもあるくらいに信頼されていた。だけれど屈託ないスマイルを見せる可能性はほんの2%くらいのもので、実際はまだまだ親密とは言えないのだろうと思う。

アンドロイド・ボーイ、教師達は陰でそんな風に言って少し敬遠しているようだった。

それくらい無表情で、機械的だった。

「わかりました……、伝えておきます。」

彼の見せる人間らしさは、時折見せる頑固なハンストだけに表れていると言ってもいいかもしれない。俺だってあやかりたいと言うほどの豪華なランチが出される給食が不満なのか、何なのか。理由も言い訳も含めていっさい口にしなくなるのだ。

友達も少ないのだろう、いつも一人で校舎から出てくる。誰一人、彼に「バイバイ!」と手を振ることはない。

「……クリス?」

少年は俺が促すと早足で寄ってくるが、顔はいつもの通りだ。

「少し、ドライブして帰ろう?」

それでもしゃがんで彼に目の高さを合わせてのぞき込むと、こくん、と頷いてくれる。途中どこかに寄ってせめてクラムチャウダーでも食べさせないと。これ以上細くなったらこれから来るサンディエゴの夏には耐えられないだろうから。

「よし、決まりだ」

そっと手を握るとしっかりと握り返してくる。

今日は夜、彼の父にも呼ばれていた。その時に話を聞いてくれるようなら言ってみようと思う。一度クリスチャンはカウンセラーなりドクターに見せる必要がある、と。とても普通の子供には見えない、この仕事をはじめた頃彼はまだ三歳だったがその時からもう子供らしさはなかった。泣かない、子供だった。

そしてドクターは言うだろう。

『母親は不在、父親との触れあいもほとんどない。それで唯一の保護者が父親の同性の愛人となれば、心が歪むのも当たり前です』

そうだ、俺は彼の父親の愛人なのだ。

こんな年になっても、幾人も他に若い愛人がいるのを知っていながらも、男の私邸に出入りできる愛人は俺くらいなのだ。

俺が部屋まで呼ばれることは月のうちにそう何度もあるわけではない。が、男が在宅していれば何かと用事を言いつけられ前に出ていかなくてはならない。最近はそれが頻繁で、正直鬱陶しい。

クリスチャンの母親も愛人の一人で、私生児として生んだ息子の父親の話をいっさい口にしないが、どれだけかわいがっているのかの美談をインタビュワーに語って聞かせている。それをビデオに取って、クリスは学習する。女優が言ったことを聞かれたら、同じように答えるためだ。たまに脚本もあると言うが、こんな環境でおかしくなるなと言われても無理があるのかもしれない。

だから俺は何よりも、クリスチャンの将来が心配だった。自分はこんなことをしていればわかるように結婚もしていないし、子供もいない。弁解のようだが、ゲイでも何でもなかった。だから彼を子供のようにも思っていた。誰も愛してくれないかわいそうな子、それならば俺が、せめてもの償いに愛してあげようと思っていた。現に心から彼を守りたいと思っているし、愛している。

それがどうだ。今日も彼を裏切って、父親の下敷きになるのだ。

「……畜生……」

思わず舌打ちをしてしまい、手を小さく引かれた。見上げてくる真っ黒な瞳にはかすかな感情の色が見える。教師にはわからないことだろうが、もう十年近い付き合いにもなればわかることがある。彼は心配してくれているのだ。たぶん、最近苛立っている自分のもやもや、が手を通して伝わっていたのだろう。

「ああ、大丈夫だクリス……」

スマイルを返した。彼は知っているのだろうか?送り迎えをしてくれるお抱え運転手(と、言うにはざっくばらんなセダンでの送り迎えだったが)が、おやすみを言った後、父親のベッドに呼ばれていることを。

しかしいつかは知るだろう。送り迎えは世間体へのオプションだということを。

「今日も良い天気だな。」

サン・ディエゴになんて来るつもりはなかった。あの日、あんなことがなければ、俺は今でもイギリスのどこかにいたはずなのだから。

いや、首を吊っていたかもしれない。

どのみち、ハッピーとはほど遠い人生のターニングポイントだったのは、確からしかったが。

すでに、十三年の月日が過ぎていた。

もう、そんなになるのか……。

――――――――――――――――

父親の容態は悪くなる一方だった。長い間鉱山で働いていたせいか、粉塵が胸に入り込み病巣となってしまったのだと言う。鉱物に含まれる金属の中毒症状もあり、ベッドから起きあがることはほとんどなくなっていた。

グラスも片手では掴めないのだ。

「父さん、今日は顔色がいいね」

嘘だ。

酷い顔色で今すぐにあの世に行っても驚きはしないだろう。母親の顔は知らず、祖母がずっと母親代わりをしてくれていた。父は厳しく、母親似らしき俺を酔うとよく殴った。手酷く裏切られたのだろうというのは子供心に知っていたが、それを償うように動物園や遊園地に連れて行ってくれる不器用さをより強く信じた。

愛していたのだ、ろくでなし一歩手前の父親を。

「……そうかな? 背中が……痛む」

祖母、も割合早く亡くなって十歳から父親と二人きりでシェフィールドのはずれで過ごしていた。頭の良くない俺は義務教育期間を終えると家からほど近い鉄工所に勤めはじめた。地元の仲間とそれなりに楽しく、多少のやんちゃを含め、過ごしてきた。今思えばそれが唯一のハッピータイム、だったのかもしれない。

「今、お湯を持ってきてもらうから。………背中を拭いてあげるよ」

二十九歳になったその日、俺はその鉄工所を辞めた。シェフィールドからここロンドンの病院に通うためにはたくさんの休暇を取る必要があり、それが限界に達したからだ。ささやかな退職金でとりあえず後二週間分の入院費は支払うことができた。

父親の勤めていた鉱山はもうだいぶ前に閉じられ、賃金に未払いもあるくらいなのだから、到底病気への保証金が得られるわけもない。裁判を起こしている人間もいるが、判決が出る頃に父親が生きていられるとはとても思えなかった。二週間後、どうしたらいいのだろう。自宅は親戚にたまの様子見を頼み、自分は病院近くの酷く狭く汚いフラットを借りた。この病室の床で寝たほうがましなくらいの場所だ。

家賃は前払いで一ヶ月分。もうこれで蓄えは尽きたようのものだ。ロンドンは何をするにも金がかかる。しかし父親の病気に対応できるのはここの病院でないとならないものらしい。転院はすでに4回目となっていた。

「俺、こっちに仕事を見つけたんだ。もっと頻繁に顔を出せる」

これも嘘だ。こんなインテリばかりが集まる場所で俺に出来る仕事なんかそれこそこの病院の地下にある安置所で死体を拭くようなものくらいだ。実際受けた面接はことごとく落ちている。まあ、父親の看病の都合、パートタイムジョブ、を希望しているのも理由の一つだろう。

あと二週間のうちに何か見つけなくては。

「………すまない、ショーン」

お湯が来た。タオルを浸して固く絞る。そして冷たくならないうちに父の体をゆっくりと裏返した。床ずれができていて、痛そうだ。俺は眉間に皺を寄せたが、くぐもった父の声には務めて明るい声を出して見せる。

「何言ってんだよ。俺も都会でかわいいお嫁さん探しができるって浮かれてるんだからさ」

「良い子だ………」

小さい頃、吹っ飛ばされたことも普通の子より多かった。拳の強さは今も覚えている。それがどうだろう、こんなにやつれてしまって。こんなに骨が浮いている体など、父の姿ではない。こみ上げてくる涙をどうにか軽口でごまかすのがやっとだった。

「いつも悪い子、って言ってた癖に」

喧嘩をしては警察の厄介になり、やってきた父親は強かに俺を殴った。逆に警察が「もういいでしょう!」と言ったくらいだ。それから強く腕を引き、駐車場にまでやってくると、何て馬鹿なことをしたんだ、と苦しい声を出して抱きしめてくれた。顔は腫れてしまっていたが、それはとても心地良い時間で、俺は下手をするとそのために悪さをしていたかも、と思うこともあった。

今となれば、だが。

「実際悪い子だったろう……、喧嘩ばかりして……」

背中を拭き終え、仰向けに体を戻すと闘病にも人生にも疲れ切った男の顔がそこにはあった。俺は精一杯のスマイルと、両頬へのキスを送った。もう長くはないだろう、それはわかっていた。

「ダディの気を引きたかったんだよ」

父親は何も言わない、ただ弱り切った力でハグをしてくれた。だから死なせるもんか、と心に誓う。そしてまた悪いことをした俺をぶん殴って欲しい。それは彼のアイラブユーだったのだから。

「じゃあ、面会時間もそろそろ終わるから俺は行くね?また、明日来るよ。仕事は夜のシフトなんだ」

にっこり笑うと父親もかすかな笑みを返してくれた。ここへ来る前に聞いた医者の話によると、この病院で出来ることは延命治療くらいなものらしい。大規模な手術をするにはイギリス国内では難しいとのことだ。嫌な言い方かもしれないが、『部品』の調達も必要なのだという。はっきりは言わなかったが、おそらくは移植に強いアメリカでないと難しいというわけなのだろう。

紹介状を出してもいいが、その一連の治療には莫大な費用がかかると医者は苦い顔で言った。その金額は十八歳の頃から十年働いた総額ですらてんで及ばないもので、俺は目眩でぶっ倒れそうになった程だ。

「……無理だ、絶対に無理だ……」

自分の肝臓の一欠片、肺の半分、腎臓の半分、を売り飛ばしたって無理だ。それぐらいでどうこうなるなら、すでに父親に分けている。息子なのに、テストで不適合になったという負い目が焦りと絶望に拍車をかける。

「畜生っ!」

そんなに過ぎた幸福を願ったわけじゃない。母に夢見ることもずいぶん前にあきらめた。頑固な父親に食事を作るのだって、遊びに行く前に欠かしたことはなくて、それを放棄したかったわけでもない。殴られても、蹴り飛ばされても、別にそれで父を憎んだこともはなかった。

気の合う友人と飲む酒、フットボール観戦で大騒ぎ、それだけだ。それだけが俺のささやかなハッピーだったのに。それすらも奪おうと言うのか、まったくくそったれな神様だよ!

俺はもう色々な感情と現実をうまく処理出来なくなり、混乱したようになりながら病院を出る。行きたい場所も、行くべきところもない。ただ闇雲に前へ進むしかできなかった。

人通りも、露天も何一つ目に入らず、俺は頭の奥がしびれているような感覚を覚えながら、前へ、前へと足を進めた。

その先が地獄でもたぶん、ここよりはましな世界に違いない、そう思いながら。

世界が少しずつ白くけむっているように見えた。

遠くで聞こえるのはクラクション。

運命なんて、クソ食らえだ。

これ以上のバッドケースはないと思っていたのに。

***   ***   ***

「………気づいたかね。」

その声に俺はぱちぱちと瞬きを繰り返す。何も見えていなかったところに、見慣れない風景が広がっていた。見たこともないくらい高い天井に、見たこともないシャンデリア、とか言うものがぶらさがっていた。声の主を捜す前に目は動く範囲の場所を凝視した。天国、かもしれないと思うほど、今までに縁のない豪華な部屋の一室、のようだった。

「あ……え……あの……。」

年は父親より少し若いくらいだろうか。しかし肌艶の良さからしても彼とはあきらかに違う生活を送っているだろう、男が顔をのぞき込むようにしてこちらに近寄って来る。

「何か言うことはないかな?」

ハミング交じりのそう低くはない声が促すのだが俺の頭は真っ白になってしまい、何の言葉も出てこなかった。車に跳ねられたのかもしれない?と思いつくまでに長い沈黙が流れる。

「いくら欲しくてあんな真似をした?」

男は目をぐっと細め、にらむのか品定めするのか、わからないがまっすぐにこちらを見てそんな風に言った。車の前に飛び出したという自覚はないし、さすがに当たり屋をしてやろうという発想もなかった。

そこで、はっと我に返った俺はあたりをあらためて見回した。そうだ、ここは病院ではない。普通誰かを車で跳ねてしまったら呼ぶのはアンビュランスで来るのは医者と保険屋だ。

しかしここはどうみても(映画に出てくるような場所であったが)ホテルの一室だろう。嫌な予感に脂汗が浮かんでくるが、それを拭うことも出来ずに俺は奥歯をぐっと強く噛みしめた。

「……だんまりもいいが、痛みはないだろう?」

そう言えば、と俺は勢いよく起き上がる。手の平にすら、擦り傷ができていないのだ。

「うちの運転手はなかなかに腕が良くてね。間一髪だったんが、君は何にも触れていないのに倒れてしまった。それで主治医に調べさせたところ、胃の中は空っぽ、極度の疲労で意識を失ってしまったらしいと言うではないか……」

主治医と運転手がいるような人間の種類というのはきっぱりと両極端に分かれる。生まれながらにしてそういう人種か、成り上がりのビジネスマンでもこの際構わない。

でもそれなりに小さいながら悪さをしてきた俺にはわかる。目の前にいる男は違う、そんなまっとうな人間ではない。にこやかに頬を緩めているが、視線は一挙一動も見逃さないぞという迫力に満ちている。

彼は間違いない、悪党だ。

しかも、とびきりたちの悪い。

「いくら、必要なんだ?」

ごくり、と喉が嫌な風に鳴った。

「部下は酔狂が過ぎると止めるんだがな。」

男は黙りこくったままの俺の頬に、やや肉付きのよい手を添えた。その暖かさが感覚に妙な現実感を与えてくるので俺はひきつったような笑みを返した。

「……俺が内臓売ったって……足りないような……金額さ……」

ほう、と男は関心したように頷き、俺のあごを指先でつい、とあげて値踏みをするように右から、そして左からと眺めはじめた。

「年はいっているようだが、良い素材だな。……ふうむ、実に悪くない。」

うなっているのか、ハミングをしているのか、独り言を呟くようにすると男は俺の両肩に手を置いた。

「事情はこちらで調べさせてもらおう。おまえはただイエスと頷けばいい」

俺はごくり、と唾を飲みこんだ。しかし唾液などほとんど口の中に残っていないくらいからからに渇いていて、ただ喉が動き引きつれたようになって痛みを覚えただけだった。

「金で解決することはすべて片付けてやろう」

男はにっこりと、好々爺(というほどの年ではなかったが)然として微笑むと、俺の頬をもう一度ゆっくりと撫でて、額にキスを落とした。彼があしながおじさんのような慈善家でないことくらいすぐにわかった。

しかし、金、だけが今の自分には足りないもので、欲しいすべてであったから。

「…イエス……、イエス、サー……」

口にした後すぐに唇を強く噛んだ。何をされるのか、何をすればいいのか、おぼろげながら彼の手の動きでわかったつもりだ。その経験はもちろんなくて、不安というより恐怖の方がもちろん大きい。

でも父さんが。

「よし、いい子だ……」

また元気になって、こんな馬鹿なことをして!と叱ってくれるのならば、それでいいと思った。力いっぱい殴ってくれて、それから涙目で抱きしめてくれるのだ。そのためだったら何だってできる。

「失礼いたします」

そこへ一人の男が扉を開けて入ってきた。いかにも、という風情が漂っている。着ているものはシティのビジネスマンと変わらないのだろうが、やはり目が違う。

「仕事が早いな……。ふうむ、なるほど……。かわいそうに、この坊やはだいぶ健気だな」

面白い、と元からいた男は新たに入ってきた男から受け取った書類を一通り眺めて頷いた。

「私の名前はブライアン。ブライアン・コックスだ」

「……ショーン…ビーンです……」

ブライアン、という名の男はそれ以上の自己紹介をせず、書類を読みながらいくつかの質問をしてきた。それは、驚くべきことにすでに俺が抱える問題をすべて把握していると証明しているのと同じだった。

彼は何でもないことのようにアメリカの病院への転院手続きを取ると約束し、あわせて俺の渡航準備もするように言った。

俺はただその言葉に頷き、彼が何をしている人間なのかもわからないまま、やがて運ばれてきた見たこともないような料理を腹に詰め込むことになった。医者という男がさらに入ってきて、点滴を打たれたときにはもうどうでもよくなってしまい、そのまま目を閉じた。

朝が来るまで、昔の夢を見つづけた。

ダディ!ダディ!もう怒らないで。

僕はママじゃないよ!

ずっとダディの側にいるから

ダディ、大好きだよ、怒らないで!

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