◆ブロークバック・マウンテン◆

さて、このブログのエントリーで、2004.11からしつこく、ただしぼんやりと(苦笑)プッシュし続けてきたこの映画。ようやく見ることができました。
でも、応援してきただけあって、長ーーーーい、エントリですだ。ええと、原則として真弓は…
・不倫モノが大の苦手。
・ラブストーリー自体、あんまり見ない(ラブコメは見る)。
というのがあるので、正直「だ、大丈夫かし?」と不安になりつつ、なんだかプレミアシートで鑑賞しました。いいね、このゆったり感。

二人のカウボーイ、とは言え、すでに『カウボーイ』という職業が廃れ気味になってきている時代背景、男らしくてならずものから街を救うなんていうのは、昔話か御伽噺かっていう感じで、むしろ存在は軽んじられている風な雰囲気が、くたびれた町の風景からも伝わってきます。
でも、今でもワイオミング州の通称は「カウボーイ州」。ロッキー山脈のふもとって感じなのかしら、山に囲まれている分、そう都会に開けたりしているわけではなく、まあ、絵に描いたように「閉鎖的」なお国柄だそうです。
この話は間違いなく、カルフォルニアでは存在しないストーリーだろうと思います。
で、メソジスト派が強いお土地柄だけど、アメリカに来たメソジストの教義は生まれた時の「厳格な禁欲主義」ほど固くないみたいですね。みんな酒飲んでたし。ただ、規律正しく、暮すというのが原則ですからね、やはりイレギュラー、マイノリティーには厳しいのかも。
この辺の問題は、クリスチャンでもなければ、熱心な研究者でもない私にとってはわかりにくい問題ですね。ペンテコステ派?なんて聞いたことなかったですよー。聖霊光臨とか、その手の意味だったと思ったんですが、カトリックじゃないんですよねー。はてさて。

さて、それで、初見での感想はですね!

・まったく腐女子的視点にならなかった!(奇跡!)
・枯れきっていたと思っていたけど、恋っていいものかもって思えた(笑えない)
・でも、巻き込まれたくはない(奥さんサイドになってみて考えると)
・かなり、泣いた。

うわ、頭が悪そうな感想ですいません。でもね、もう、端的に言うとすごい、アン・リーすごい!って感じなんですよ。こんなにも乙女心を刺激されるたぁ思ってもみませんでした。あの淡々とした雰囲気と、圧倒されるほどの自然と、二人の俳優の上手さに呆然、って感じで。

ストーリーは、若い頃、牧童の仕事(今で言う、リゾートバイトの、ヘビー版)で知り合ったイニス・デルマー(何系?ここらにスペイン系いるのかし?)とジャック・ツイストが若気の至りとも言える恋に落ち、仕事の終わりとともに別れることになる。
しかし、お互いがお互いを忘れられず、でもそれぞれ結婚してたり、子供を産んだりしてて、再会し、その後二十年近くに及ぶ、不器用な愛の物語、です。
大筋はこれだけなのに、やっぱり舞台が「ワイオミング」で「カウボーイ」だから、事情が難しく、せつなく、なったんだろうな……。

な んだろう、どちらの俳優さんにも元からの萌えがなかったのが、そう見せたのかな?ヒースはサハラに舞っちゃったり、ロックユー、だったりのイメージで(ど んなだ)期待演技派若手さん、だと思ってました。んで、ジェイクの方はと申しますと、姉さんのマギーたん(似合わない呼称)のイメージのほうが私にとって 断然強くて、おおー、姉ちゃんはたまに百物語なのに、弟はずいぶんとわんちゃん顔だなあー、びっくりだ!とか思ってたくらいでした。デイアフターはファザ コン映画だったので、大好きですが。
にしても、ヒース@イニスはすごかった!ええ?!これ、英語!?と、目を白黒させるほど、もごもごしてて、見事な「自分、不器用ですから」なキャラ!もう少し馬に乗るなら、尻の肉は欲しかったけどまあ、合格!(えらそうに)
ジャックはロデオをやるには、かわいいっちゅーか、まともすぎるルックスだった気がするけど、やっぱり姉ちゃんより…(以下略)でも、若いのに、いい働きしますねえー。うちの妹と同い年には見えないよ…って、あれ?こーこーせーの役ー?(笑)
あー、長い。

イ ニス派、ジャック派とあるとは思うのですが、私は「乙女」として、断然ジャック派です。ただ、ひたすら応援してました。クラスの女の子を応援するような気 分ですよ、これがまったく。自分でもびっくりなんですけど、好みとしてはイニスなんですが、なんでかもうジャックをほっとけなくって。
ジャックはイニスに結婚を約束した相手がいることを知っていたし、二度と会えないということを何となく感じていた。だから行動も起こしたし、未練も見せた。だけど、イニスが再会後受け入れてくれたものだから、たががはずれちゃったんですよ。
「この思いは許される」と、思ったんじゃないかな、と。
だけど、実際は「変わる」ことができず、恋も仕事も煮え切らないイニスには、受け入れられなかった、と。
た だ、イニスもねえ、このやっぱり不器用な感じがいいんですよね。実際そんなにすんなり行くわけがないじゃないか、という問題だし、あんな山奥に二人だけで いれば、若いし、間違いもあるだろう。それはきっと、イニスにとって当初はフィジカルなものだったと思うんですよ。だけど段々と時間が経つにつれ、メンタ ルにも浸透していき、恋になったんだと。
別れてから、号泣するシーンにやられました。
イニスは、何も言わない。
行動をするのはジャックで、メッセージを発するのも全部ジャック。イニスはそれに拒絶するか、受け入れるだけ。
だけど、一人泣くシーンには彼の本当の気持ちが濃縮されていると思いました。
でも、やっぱり妻として、受け入れられないっすよね…。でもまだジャックの奥さんには愛情があったと思うんだな。なんとなく、だけど、どちらかといえば自分の父さんよりジャックの見方だったし。
イニスとの電話でも、そんな気がしました。

<まったく個人的な見解>

というか、思い込みですが、さらにジャックについて…くどく書いてみます。
な ぜ、イニスを好きになったのかと、言えば、これ、もう真弓の大得意技!ファ・ザ・コ・ン!ですよーーー。原作ではもう、なんつーか、がつんと父親との確執 が書いてあるのですが、映画では「俺のことが気に入らない」っていうニュアンスでまとめています。ここらへんに、アン・リーのロマンチストっぷりが出てま すよね。
ていうか、何でもかんでもファザコンにするなとお叱りを受けそうなんですが(汗)
でも、そう思ったんだもん。
ジャックは 黙々と自分の仕事をこなし、料理もしてくれて、自分がやだやだ、と言ったときに替わりに大変な仕事に行ってくれたイニスに好感を持つのはあっという間だっ たと思います。頼りになる人で、無愛想ながらちょこちょこかまってくれるようになって、それが「味わったことのない」親密な関係だったと思うんですよ。男 の子にとって、はじめての同性の友はお父さんなわけですからね。
で、関係を持った後も(回想シーンに出てくる、後ろからのハグとか)、あの山にいる間は触れ合いが何より暖かいし、頭ごなしに叱られることもない。愛情は深まる一方ですよ。
で も、それは、やっぱり「誰の目にも触れないところ」だったからなんですよね。イニスには保守的な父の教育で、恐ろしい結末、を知っているからとても受け入 れられない。結婚していてもジャックに会うのをやめられない。別れても娘との触れ合いを大事にしたい。女に擦り寄られれば受け入れる。だけど、去っていく 背中を追いかけられない。
……こらー、しゃんとせんかい、しゃんと!!(ここがジャック寄りだというすべて)
一度でも「二度と会わない」とイニスが言えば、ジャックは笑ってさようならをして行ったと思う。そして、一人でまた車の中で泣くのよ…。
ましてや、また嫁の父親と折り合い悪くて、軽んじられてさあ。
(のっかってきたのはおまえの娘の方からだっての)

そして、私は気づいたのです。
ジャックには母性があると!!
山から帰る時に血を見て慌てて駆け寄るところに片鱗を見せてくれますが、やっぱり最後の「おまえのせいだ!」というイニスの言葉の後でしょう。どうして、あそこで、Sorryなのか。
確かにきっかけはジャックだったけど、20年の月日、彼を縛っていたのはイニスの優柔不断(もちろん、文化や環境もそうだけど)なわけで。
火遊びや、妻の友人の夫との関係に逃げてしまいたくなるほど、ジャックの心は寂しさに押しつぶされそうだったのに、Sorry、が言えて、うずくまったイニスを抱きしめるんですよ。
マリア様ー!!(取り乱す)
いやー、もう、愛情深さに、泣けたって感じですね。

さて、私の記憶が確かなら…
この映画って
「アイラブユー」
ていう言葉の、ない、珍しいラブストーリーですよね。
それが、最後の「I swear」にすべてが詰まってて、泣けました。
あれって、……永遠の愛を誓いますか?
という、結婚式のシチュエーションの、答え、ですよね。
イニスの中で娘の結婚話からつながって、I swearですよね。
……あぁああ、もう、ばかー。ぐすん。
(でも聞き間違いだと恥ずかしいので、また、見に行って確認します)

でも、時折、笑っちゃうシーンもありましたよね。家政婦は見た!アングルとか(隠れてしろよ)、ほーら捕まえちゃうぞぉ!とか、とか。
まあ、それはそれでハッピーと、アンハッピーの対比には必要だったんですよ。うん。アン・リーがそういうんだもん、いいんだよ。

また会社近くの映画館で一ヶ月遅れとかでやるそうなので、じっくり見たいです。今度は原作を読んでからだから、また少し印象が違うかもです。そしたら、追記しますよー。

やっぱり、僕はお金を貯めてウェスタン乗馬をやるべきだと思った。
心から、そう思った。
ブリティッシュ乗馬をマスターしてから言え、とパパンに叱られた。

景色、きれーだったなーー。

長い…お疲れさま。

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