な、なんで日本語訳これしかないのよーーー(号泣)
と、いうわけで続きが気になってしょうがなくなるほど、登場人物が魅力的なこの一品。Mさま(ありがとうございましたv)から紹介していただいたので早速手に取ってみたら、面白くて面白くてあっという間でした!
マイケル・ナーヴァのヘンリー・シリーズも、ジョセフ・ハンセンのブランドステッター・シリーズも読んでいて、レビューを書きたいなーと思ってるんですが、やっぱり色々と重くって…書きにくいんですよ。
な んていうか……60年代、70年代のゲイシーンというのは簡単に流せるものじゃなくて、ヘビーなテーマがつきまとうんです。それがハードボイルドの雰囲気 を盛り上げるっちゃーそうなんですが、涙腺の弱い真弓にとっては怖くて先が読めないっというくらいなんです。だから、こう……この二つのシリーズはじわじ わ読んでます。
ミステリとしても秀逸だから読み始めると止まらない、このジレンマ!わかってください(笑)
で、まあそんなこんなの前置きの後ではありますが、このシリーズに暗さがないわけじゃないんです。ただ、特筆すべきはこの話は……探偵でも、刑事でも、弁護士でもない、普通の人が主人公なんです!!ていうか、斬新でした、私にとって。
ベトナム戦争帰りの英語教師(こっちで言えば国語だよね)のトム・メイスン。彼がシャーロック、とくれば、ワトソン君は……またすごい。ある意味この設定はボーイズラブ的突拍子なさ、なんですけど、面白い。
相方(っちゅーか、彼氏・笑)は泣く子も黙る現役バリバリの大リーガー!!スコット・カーペンター!(シカゴだからホワイトソックス?)なんですよーー、もう、面白すぎ。
ト ムは親兄弟にカミングアウト済み(しかも味方)、だけどスコットの方はひた隠しにしてます。そこがただでさえ動きにくい素人探偵の足枷になるわけです が……どっこい、トムが無茶ばっかりするので(ちょっと自信家)それについていくたびに危ない目にあってます。このお話を読む限りスコットは正義感が強く て、真面目な、爽やかな愛すべき人物なのですが、そう頭の回転は……よくなさそうです(苦笑)ただ「トムが危険だ探知機!」だけは精巧に作られているよう で、オフシーズンということもあって、アッシー、ぱしりと何でもやります。頑張れ、スコット。しかもインタビュー慣れしてるせいか、表に立たされたり、警 察のご機嫌伺いにサインボールを使ったり、と大技(?)を繰り出します。すごいなあ……さすが、メジャーリーガーだぜ!
と、いうわけで、今回の事件はと言いますと……。
ト ムはちょっとやんちゃな子供たちにもそこそこ支持されている教師です。そんな彼が今日も一日頑張るぞ!と思って扉をあけると誰もいないはずの席に一人の男 が座っている。こんな早くに何してるんだ?と思って近づくとそれが数学科の教師ジム・エヴァンスの他殺体だということがわかり、事件が発覚!
学園 物ミステリーの基本である破天荒なところのある主人公、それを支える相棒、ある物わかりの悪い風評ばかり気にする上司、そしてどんどんと裾野を広げていく 事件、刑事たちとの折り合いも悪い、というオーソドックスな作りなのですが、それが気にならないのはトムが本当に親身になって生徒のことを考えていて、そ の情熱が伝わってくるからでしょう。興味本位、なのかなー?と思ってたらそうではなくて、疑わしき人やこらしめて良いはずの人にもひそかに優しかったりす るんですよ。
殺されたジムの息子は行方不明、ジムからDVを受け続けた母親もどこかおかしい、さらには「見当とは違う」犯人が逮捕され、行き止ま りになったり、襲われたりする。金銭トラブルかと思われた事件も、少年時代という隠れ蓑の中の暗部に触れて行かざるを得なくなり……といった、展開はヘ ビーなものになっていきます。
ミステリのレビューなので、うまくかけないのですが、他のゲイ探偵ものと同じく、やっぱり事件の背後にはゲイシーン が隠されています。それを非難されたことのあるジョセフ・ハンセン氏(パイオニアだしね)はこう答えました。主人公達が出入りする場所、シーンに関連づけ るのが自然なことだと。男女がむつみ合うクラブで起きた事件をプレイボーイが解決するのと変わらない。(てきとー訳)
確かに、そうかも。自分の身を置くコミュニティと深く関わっていくのは当然のことですよね。
ええと、ズブロさん自身が先生だったので学校を取り巻く環境や問題なんかはすごくリアルです。頭の中にアメリカンな学校の姿が浮かんできますから。そして、教師の視点で考えたことをトムに言わせているような気がします。
本 当にささいなことがきっかけで子供たちは山に登って頂上を見ることができるし、道に迷って底なし沼に落ちてしまう。その辺のジレンマ、なんかもミステリの 筋の中に熱血漢トム&正義漢スコットの気持ち、として出てきます。カムアウトもできない臆病者なのに、とスコットを非難する姉さん(元は兄ちゃん)の気持 ちはわからないでもないんですが、スコットはけしていい加減な気持ちでトムとつきあってるわけでも、正義を口にするわけでもないんですよ。やっぱりそれは アンチゲイの多い野球界というコミニュティに身を置く立場のためだと思います。きれい事でも行動する勇気がある二人からは(多少無茶だが)偽善的なものは 感じなかったですねー。
腐女子的にもこのカップル(苦笑)は読みやすいです。なぜならこの時代のゲイものにしては珍しく、完全「一夫一夫制」の元のラブラブカッポーだからです!ちょっと馬鹿っぷる入ってます(笑)
普 通マッサージを箭弓選手の方にしてあげるのが普通だと思うのですが(笑)なぜかトムはスコットまかせにしてうっとりしてます。やっぱ、さいこーだー、みた いに一人極楽気分。け、健気だなあ、スコット。あと、二人でトレーニングしてるとおかしな気分になってきちゃうんだ、とかすごい余計なこと(笑)まで書い てあります。リバなのかなーと思いきや、読む限りスコット×トム、みたいですね。ちょっと、えらそうだけどな、トム。
出会いの時からトムがスコットをリードしてる感じでかわいいです。
なんか、この辺がいいんだよねー。事件も重くて、それを調べてる人間にも暗い問題があってーとかいうとかわいそで仕方がなくなってしまいますから。
ええと、続刊は
『Why Isn’t Becky Twitchell Dead』
『The Only Good Priest』
『The Principal Cause of Death』
と、続くそうです。
で、ラブもまっさかりだそうです。
にしても単純なタイトルだな………。柿沼先生、お願いです~~。続きを訳してくださいーー。一人称なのでまだ読みやすそうですけどね……。